wolfSSL vs Mbed TLS:Intel・ARM (Cortex-A / Cortex-M)・RISC-V での公平なベンチマーク比較

対象範囲:wolfCrypt の全アルゴリズムスイートと Mbed TLS を、4 つのプラットフォーム(Intel x86_64、Raspberry Pi 5 (ARMv8-A Cortex-A76)、ベアメタルの STM32H563 Cortex-M33、Microchip PolarFire SoC RISC-V U54)で同一の方法により測定しました。あわせて、Mbed TLS が持たないポスト量子暗号および拡張アルゴリズムのカバー範囲も示します。wolfSSL v5.9.1、Mbed TLS 3.6.6、2026 年 6 月時点。

測定方法:各ターゲット上で、同一のソースからビルドしました。wolfSSL 側はすべて速度を最大化する設定(アーキテクチャ固有アセンブリと単精度演算)でチューニングし、Mbed TLS 側は各プラットフォームで最も高速な標準構成で実行しました。測定には wolfcrypt/benchmarkprograms/test/benchmark を用い、MCU では同一の処理を内蔵の DWT サイクルカウンタで計測しています。ブロックサイズは 1024 バイト、1 アルゴリズムあたり約 1 秒です。

wolfSSL と Mbed TLS は、仕様書の上では同じように見えます。どちらも組み込み向け TLS および暗号ライブラリで、小さく移植性の高い C 実装です。しかし実際に測定すると、両者の性能は近くありません。wolfCrypt は x86、ARM、RISC-V のほぼすべてのホットパスに手書きアセンブリを備えているため、セキュアブート、アテステーション、TLS のボトルネックとなる処理が Mbed TLS の移植性重視の C 実装より何倍も高速に動作します。さらに wolfSSL は対応範囲も広く、Mbed TLS には存在しない CNSA 2.0 準拠の完全なポスト量子暗号スイート(ML-KEM、ML-DSA、LMS、XMSS)と SLH-DSA を含んでいます。以下の数値は引用ではなく実測値です。4 つの実機上で、アルゴリズムごとに同一の処理を、用途に応じて速度とサイズを最適化した上で、すべてソースからビルドして測定しました。

Intel i9-11950H (x86_64)

wolfCrypt は --enable-intelasm --enable-sp=yes,asm でビルドしました(AES-NI、AVX2、SHA 拡張命令、単精度 x86_64 アセンブリ)。Mbed TLS は標準の Release 構成です(AES-NI と MBEDTLS_HAVE_ASM)。

Intel i9-11950H、共通鍵暗号のスループット
図1. Intel i9-11950H、共通鍵暗号のスループット (MiB/s)
Intel i9-11950H、公開鍵暗号の処理性能
図2. Intel i9-11950H、公開鍵暗号の処理性能(回/秒)
処理wolfCryptMbed TLSwolfSSL の優位性
AES-256-GCM6527 MiB/s417 MiB/s15.7 倍
AES-128-GCM7663 MiB/s445 MiB/s17.2 倍
SHA-384852 MiB/s516 MiB/s *1.7 倍
SHA-2561703 MiB/s340 MiB/s5.0 倍
ChaCha20-Poly13052294 MiB/s455 MiB/s5.0 倍
ECDSA P-256 署名64,194/秒4,227/秒15.2 倍
ECDSA P-256 検証61,357/秒1,244/秒49.3 倍
ECDH P-256 鍵共有68,400/秒1,277/秒53.6 倍
RSA-2048 公開鍵処理77,405/秒17,506/秒4.4 倍

* Mbed TLS のベンチマークは SHA-384 ではなく SHA-512 のみを測定します。両者は同じコアを共有し同速で動作するため、これが SHA-384 の公平な比較対象となります。

差が最も大きいのは AES-GCM(wolfCrypt の AES-NI とキャリーレス乗算による GHASH に対し、Mbed TLS はテーブルベースの GCM で 15 から 17 倍)と、公開鍵処理(単精度アセンブリに対し移植性重視の C 実装で、ECDH では最大 53 倍)です。

ARM Raspberry Pi 5 (Cortex-A76 @ 2.4 GHz)

wolfCrypt は --enable-armasm --enable-sp=yes,asm でビルドしました。configure のログから ARMv8 暗号拡張命令が有効になっていることを確認しており、AES-256-GCM は 1.34 サイクル/バイトで動作します(ハードウェア AES と PMULL の併用。ソフトウェア AES であれば約 25 サイクル/バイトです)。Mbed TLS 3.6.6 も同一ソースを Pi 上でビルドしました。

Raspberry Pi 5 (Cortex-A76)、共通鍵暗号のスループット
図3. Raspberry Pi 5、共通鍵暗号のスループット (MiB/s)
処理wolfCryptMbed TLSwolfSSL の優位性
AES-256-GCM1712 MiB/s442 MiB/s3.9 倍
AES-128-GCM2104 MiB/s489 MiB/s4.3 倍
SHA-384416 MiB/s225 MiB/s *1.8 倍
SHA-2561464 MiB/s205 MiB/s7.1 倍
ECDSA P-256 検証14,933/秒592/秒25.2 倍
ECDH P-256 鍵共有17,586/秒637/秒27.6 倍
RSA-2048 公開鍵処理12,226/秒4,366/秒2.8 倍

* Mbed TLS のベンチマークは SHA-384 ではなく SHA-512 のみを測定します(Mbed TLS は両方をサポートしており、同じコアで同速です)。ARM での差が Intel より小さいのは、Pi では Mbed TLS も ARMv8 の AES 命令を利用できるためです。x86 では Mbed TLS の GCM がソフトウェア実装の GHASH に留まっています。

STM32H563 (Cortex-M33 @ 250 MHz、ベアメタル)

両ライブラリを Cortex-M33 向けにクロスコンパイルし、実機上で DWT サイクルカウンタを用いて計測しました。wolfCrypt は共通鍵暗号とハッシュ(AES、SHA-256、ChaCha20、Poly1305)に Thumb2 アセンブリを、公開鍵処理(ECC、RSA)に SP Cortex-M アセンブリを使用しています。STM32 のハードウェア暗号ブロックは使用していません。M33 コアには AES 命令も SHA 命令も無いため、これは両者とも手書きのソフトウェアアセンブリ同士の比較です。実際の STM32H5 ファームウェアと同様に命令キャッシュは有効化しています。無効にするとフラッシュが 5 ウェイトステートで動作し、すべての結果が約 3 倍遅くなります。

STM32H563 (Cortex-M33)、共通鍵暗号のスループット
図4. STM32H563、共通鍵暗号のスループット (KiB/s)
STM32H563 (Cortex-M33)、公開鍵暗号の処理性能
図5. STM32H563、公開鍵暗号の処理性能(回/秒)
処理wolfCryptMbed TLSwolfSSL の優位性
AES-256-GCM2155 KiB/s284 KiB/s7.6 倍
AES-128-GCM2562 KiB/s290 KiB/s8.8 倍
AES-128-CBC5175 KiB/s2832 KiB/s1.8 倍
ChaCha20-Poly13058714 KiB/s3273 KiB/s2.7 倍
SHA-2565488 KiB/s3849 KiB/s1.4 倍
SHA-384 / SHA-5122387 KiB/s *2271 KiB/s1.05 倍
ECDSA P-256 検証167/秒12.1/秒13.8 倍
ECDH P-256 鍵共有175/秒18.6/秒9.4 倍
RSA-2048 公開鍵処理394/秒130/秒3.0 倍

* SHA-384/512 には MCU 固有の注意点があり、この数値はアセンブリ本来の速度を表していません。SHA-512(SHA-384 も同じ実装を使用)は 64ビットワードを扱います。wolfCrypt の完全展開された Thumb2 SHA-512 変換関数は約 12.6 KB で、STM32H563 の 8 KB 命令キャッシュより大きくなります。キャッシュ経由でフラッシュから実行するとキャッシュスラッシングが発生し、1858 KiB/s まで低下して C 実装より遅くなります。SRAM に配置すると(RAMFUNCTION 化によりフラッシュのウェイトステートが無くなるため)、同じアセンブリが 2387 KiB/s で動作し、両者を上回ります。このキャッシュ上限はこの小型 MCU 固有の問題です。Intel や Raspberry Pi のプラットフォーム(L1 キャッシュ 48 KB / 64 KB)では SHA-512 アセンブリがキャッシュバウンドになることはなく、そのため SHA の性能差がより大きく出ています。ここでは SRAM 配置時の数値を掲載しています。キャッシュに余裕のあるターゲットや TCM を備えたターゲットでは、特別な配置をしなくてもアセンブリが明確に上回ります。

MCU 上では、wolfCrypt はすべてのアルゴリズムで高速です。AES-CBC で 1.8 倍、AES-GCM で 7 から 9 倍、ChaCha20-Poly1305 で 2.7 倍(いずれもキャッシュに収まる手書き Thumb2 アセンブリによるもの)、そしてセキュアブートとアテステーションのボトルネックとなる公開鍵処理では圧倒的な差がつきます(ECDSA 検証 13.8 倍、ECDH 9.4 倍)。これは SP Cortex-M アセンブリによるものです。

RISC-V Microchip PolarFire SoC (SiFive U54-MC @ 600 MHz)

wolfCrypt は U54 向けに、必要最小限かつ速度重視の構成でビルドしました。アルゴリズムを絞り込んだ上で --enable-riscv-asm(AES、SHA-2、SHA-3、ChaCha20、Poly1305 の手書き RV64 アセンブリ)と、RSA および ECC 向けの単精度演算を有効にしています。ライブラリ全体のコードサイズは約 712 KB です。MPFS250T の 4 つの U54 アプリケーションコアは素の rv64imafdc 構成で、AES、SHA、ビット操作、ベクトル暗号のいずれの命令も持ちません。したがって STM32 と同様、これはハードウェア暗号ブロックではなく、両者とも手書きのソフトウェアアセンブリ同士の比較です。Mbed TLS は同一ソースを標準のデフォルト構成でビルドしました。

PolarFire SoC U54 (RISC-V)、共通鍵暗号のスループット
図6. PolarFire SoC U54、共通鍵暗号のスループット (MiB/s)
PolarFire SoC U54 (RISC-V)、公開鍵暗号の処理性能
図7. PolarFire SoC U54、公開鍵暗号の処理性能(回/秒)
処理wolfCryptMbed TLSwolfSSL の優位性
AES-256-GCM4.3 MiB/s1.3 MiB/s3.2 倍
AES-128-GCM5.1 MiB/s1.4 MiB/s3.6 倍
ChaCha20-Poly130514.2 MiB/s9.6 MiB/s1.5 倍
SHA-38414.1 MiB/s9.6 MiB/s *1.5 倍
SHA-2569.3 MiB/s6.9 MiB/s1.3 倍
ECDSA P-256 検証256/秒24/秒10.7 倍
ECDH P-256 鍵共有288/秒37/秒7.8 倍
RSA-2048 公開鍵処理930/秒144/秒6.5 倍

* Mbed TLS は SHA-384 ではなく SHA-512 のみを測定します。両者は同じコアを共有し同速で動作するため、これが公平な比較となります。U54 には暗号命令が無いため、ここでは両ライブラリともソフトウェア実装のみで動作しています。

wolfCrypt はすべての処理で高速です。差が最も大きいのは公開鍵処理で、RSA-2048 公開鍵処理で 6.5 倍、ECDH で 7.8 倍、ECDSA 検証で 10.7 倍となります。これは wolfCrypt の単精度演算が Mbed TLS の移植性重視の多倍長演算を上回るためです。共通鍵暗号側の差は AES-128-GCM で最大 3.6 倍で、wolfCrypt の RISC-V アセンブリとより高速な GHASH 実装によるものです。RISC-V アセンブリを有効にするだけでも、wolfCrypt の移植性重視の C 実装に対して各プリミティブが直接的に高速化します。ChaCha20 は 33%、Poly1305 は 25%、SHA-256 は 24% 向上し、テーブルを使わない定数時間 AES は 0.12 MiB/s から 6.4 MiB/s へ跳ね上がります。

Mbed TLS には無く wolfSSL がサポートするもの

同じ速度重視のビルドで、Mbed TLS に対応するものが存在しない多数のアルゴリズムもカバーしています。現在最も重要なのは、完全なポスト量子暗号スイートです。

wolfCrypt が提供するポスト量子・拡張アルゴリズム
図8. wolfCrypt が提供するポスト量子暗号および拡張アルゴリズム(Intel i9 上での処理性能)。Mbed TLS はいずれも未対応です。
分類wolfSSLMbed TLS
ポスト量子署名ML-DSA-44/65/87 (FIPS 204、ML-DSA-87 検証 20,849/秒)、LMS / HSS、XMSS / XMSS-MT、SLH-DSA (FIPS 205)なし
ポスト量子 KEMML-KEM-512/768/1024 (FIPS 203、ML-KEM-768 カプセル化 176,138/秒)なし
EdDSAEd25519(署名 113,101/秒)、Ed448なし
ID ベース暗号 (MIKEY-SAKKE)ECCSI、SAKKEなし
追加の共通鍵 / ハッシュ / KDFAES-SIV、AES-GCM-STREAM、AES-OFB、SHAKE128/256、RIPEMD-160、BLAKE2b / 2s、SipHash、scrypt、SRTP / SRTCP KDFなし

wolfPSA による PSA Crypto のドロップイン置き換え

wolfCrypt は wolfPSA を通じて Arm PSA Crypto API も実装しています。そのため、PSA ベースの設計から離れることなく、上記の性能と対応範囲を利用できます。すでに Mbed TLS の PSA crypto を前提に構築されたデバイス(例えば TF-M 上)では、アプリケーションが呼び出している psa_* 関数はそのままに、その背後のプロバイダを wolfPSA に差し替えられます。PSA アーキテクチャは維持したまま、wolfCrypt の機能と性能を得られます。PSA ベースの設計を保ちながら、FIPS 140-3 への道筋、ポスト量子暗号スイート、wolfCrypt のアセンブリによる高速性を 1 つのスタックで獲得でき、TF-M や PSA アプリケーションにそのまま組み込めます。

実際のところ、これは上記のグラフに現れた性能差を、書き直しなしで手に入れられることを意味します。アプリケーションは標準の PSA API を呼び続け、wolfPSA が各処理を wolfCrypt へ振り分けることで、高速な AES-GCM、単精度の公開鍵演算、そしてポスト量子アルゴリズムがそのまま利用可能になります。

速度以外の比較:wolfSSL と Mbed TLS

速度とアルゴリズムの対応範囲は、全体の一部にすぎません。wolfSSL は商用サポートと各種認証を備え、当初の開発者自身が保守しているライブラリであり、対応プラットフォームの広さと機能の深さを持ちます。Mbed TLS は PolarSSL / XySSL からフォークされたコミュニティプロジェクトであり、同等の認証、対応範囲、サポートは提供されていません。詳細な比較は次のとおりです。

技術

項目wolfSSLMbed TLS
権利者wolfSSL Inc.(単独)複数。XySSL / PolarSSL からのフォーク
開発チーム当初の開発者が現在も参画当初の開発者による保守ではない
移植性標準で高い移植性:Windows (Win32/64)、Linux、macOS、Solaris、*BSD (FreeBSD、NetBSD、OpenBSD)、QNX、組み込み Linux (Yocto、Buildroot、OpenWRT)、iOS、Android、および主要な RTOS (FreeRTOS、SafeRTOS、Zephyr、ThreadX / Azure RTOS、VxWorks、Micrium uC/OS-II/III、Nucleus、Green Hills INTEGRITY、SEGGER embOS、Keil RTX / CMSIS-RTOS、TI-RTOS、NXP MQX、Apache Mynewt、NuttX、RIOT、ChibiOS、DDC-I DEOS、TRON / ITRON / uITRON、uT-Kernel)。さらにベアメタル / OS なし、Linux カーネルモジュール、Arduino、ARM Mbed OS、Contiki-NG、TenAsys INtime、EBSnet、Nintendo / ゲーム機 (devkitPro)、Haiku、HP-UX、NonStop、MontaVista、TinyOS、AIX標準で対応するターゲットは限定的:Win32/64、Linux、macOS、*BSD、OpenWRT、iOS、Android、SEGGER embOS、Xbox
標準規格SSL 3.0 から TLS 1.3、DTLS 1.0 / 1.2 / 1.3TLS 1.2 / 1.3、DTLS 1.2
アセンブリと CPU アクセラレーションARM AArch32 / AArch64 および Cortex-M Thumb-2 アセンブリ、NEON、ARMv8-A 暗号拡張命令 (AES、SHA-1 / SHA-256、SHA-512、SHA-3、SM3 / SM4)、ARM 向け ML-KEM ポスト量子アセンブリ。Intel および AMD の x86-64 AES-NI、VAES、PCLMULQDQ (GHASH)、AVX1 / AVX2、BMI2 / ADX、RDRAND / RDSEED、Intel QuickAssist (QAT)、ChaCha20 / Poly1305 / X25519 の AVX2 アセンブリ。RISC-V RV64 のスカラ (Zk) およびベクトル (Zvk) 暗号拡張。PowerPC アセンブリ。RSA / ECC / DH 向けの単精度 (SP) 演算(C およびアセンブリ)AES-NI/CLMUL、Armv8 AES/SHA、多倍長演算アセンブリ
ハードウェア暗号とセキュアエレメントSTMicroelectronics STM32 (F1/F2/F4/F7、L1/L4/L5/U5、H5/H7、WB、WL、MP13/MP25) の PKA / CRYP / HASH と STSAFE-A110。NXP CAAM (i.MX 6/7/8、RT1170)、DCP、LTC、Kinetis mmCAU、Coldfire SEC、CASPER、EdgeLock SE050。Microchip PIC32 MX / MZ、ATECC508A / 608A / 608B、TA100。Espressif ESP32 / S2 / S3 / C3 / C6 (AES / SHA / RSA)。Renesas RX65N / RX72N (TSIP)、RA6M4 / RZ (SCE)、Synergy。Silicon Labs Series 2 / EFR32 (SE、CRYPTO、TRNG)。Nordic nRF52840、nRF51 (ARM CryptoCell-310)。Analog Devices / Maxim MAX3266x、MAXQ1065 / MAXQ1080。Cypress / Infineon PSoC 6。Texas Instruments TM4C (Tiva)。Xilinx / AMD Zynq UltraScale+、Versal。Cavium / Marvell Nitrox (III / V)、OcteonTX。Tropic Square TROPIC01。TPM 2.0 (wolfTPM)。IoT-SAFE。PKCS#11 HSM。Linux /dev/crypto、AF_ALG、KCAPI。TF-M 向け Arm PSA Crypto API、NXP SECO (i.MX 8 Security Controller)、Raspberry Pi Pico (RP2040)、NVIDIA CUDA (GPU AES)、AUTOSAR crypto driver (CSM / CryIf)、Renesas RSIPSTMicroelectronics STM32 (CRYP / HASH / PKA)。NXP (CAAM、ELS / SSS)。Espressif ESP32 / S2 / S3 / C3 / C6 (AES / SHA / RSA)。Nordic nRF (Arm CryptoCell CC310 / CC312)。Silicon Labs EFR32 Series 1 / 2 (SE / CRYPTO)。Renesas RA (SCE)。Cypress / Infineon PSoC 6。Microchip ATECC608A、NXP SE050 (PSA セキュアエレメントドライバ)。Arm PSA Crypto API、TF-M
コマンドラインユーティリティ (wolfCLU)ありなし
認証FIPS 140-3 (#4718、#5041)、DO-178C DAL-A、ISO 26262 ASIL Dなし
証明書失効CRL、OCSP、OCSP ステープリングCRL
暗号抽象化レイヤありなし
TLS 解析 (sniffer)ありなし
圧縮zlibなし
OpenSSL 互換レイヤあり。1,600 以上の関数、継続的に保守限定的で古い
ポスト量子暗号ML-KEM (FIPS 203)、ML-DSA (FIPS 204)、SLH-DSA (FIPS 205)、LMS/HSS、XMSS/XMSS-MT、Falcon FN-DSAなし
対応オープンソースプロジェクトOpenSSH、stunnel、wpa_supplicant、lighttpd、cURL、OpenVPN、NGINX、mongoose ほか 900 件以上限定的
品質保証API テスト、ピアレビュー、静的解析、多数のコンパイラとプラットフォーム、ハードウェアアクセラレーション環境でのテスト、ファジング(自社ファザー、AFL、libFuzzer、TLS Fuzzer)、ビッグ / リトルエンディアン、既知のユーザー構成、外部検証コンパイルテスト、コードカバレッジ、リグレッション、テストベクタ、相互接続性、ビルド構成、メモリチェック、ファジング、静的解析
AI自社開発の AI 静的解析ツール Skoll および Fenrirなし

サポート、ドキュメント、ライセンス

項目wolfSSLMbed TLS
ドキュメント完備:全マニュアル、API リファレンス、ビルド手順、拡張機能リファレンス、チュートリアル、サンプル、ベンチマーク部分的:ビルド手順、API リファレンス、ソース
脆弱性対応通常は数日以内に修正を提供修正に数か月かかる、または提供されない場合がある
ライセンスGPLv3 と商用のデュアルライセンスGPLv2 と Apache 2.0 のデュアルライセンス
ロイヤリティフリーありあり
商用サポート(最大 24 時間 365 日)あり。当初の開発者による対応:メール、電話、フォーラム。プリセールスから 24 時間 365 日まで各種プラン。3 営業日以内に応答コミュニティフォーラムのみ

機能

項目wolfSSLMbed TLS
乱数 / エントロピーwolfRAND、NIST DRBG (SHA-256)DRBG (SHA-1 / SHA-256)
追加のハッシュ / 暗号関数AES-SIV / CFB / OFB、AES-GCM-STREAM、SHAKE128/256、BLAKE2b / 2s、RIPEMD-160、SipHash、ECIES、SM2 / SM3 / SM4いずれも非対応
公開鍵演算の高速化単精度演算、ECC 固定点キャッシュECC の NIST 素数剰余の高速化
TLS 拡張SNI、Max Fragment、ALPN、Trusted CA Indication、Truncated HMAC、Secure Renegotiation、Session Ticket、Extended Master Secret、Encrypt-then-MAC、Quantum-Safe Hybrid、OCSP ステープリング (v1/v2)、Supported Groups、Post-Handshake Auth、0-RTT Early Data、Cookie。標準規格には QUIC も含むMax Fragment、Encrypt-then-MAC

まとめ

同じハードウェア上で同じ方法でビルドして比較すると、wolfCrypt は Mbed TLS を全面的に上回りました。x86 においてセキュアブートと TLS のボトルネックとなる公開鍵処理で 15 から 53 倍、Raspberry Pi 5 で 3 から 28 倍、ベアメタルの STM32H563 で最大 14 倍、PolarFire RISC-V で 6 から 11 倍となり、wolfCrypt が手書きアセンブリを持つ箇所ほど差が大きくなります。さらに wolfCrypt は、Mbed TLS がまったく持たない完全なポスト量子暗号スイート(ML-KEM、ML-DSA、SLH-DSA、LMS、XMSS)、EdDSA、および幅広い拡張アルゴリズムを提供します。速度と対応範囲に加えて、FIPS 140-3 認証取得済み(証明書番号 #4718 および #5041)、DO-178 DAL-A、ISO 26262 ASIL D 対応、MISRA C チェック済みであり、TF-M 向けの Arm PSA Crypto API をサポートし、当初の開発者による 24 時間 365 日の商用サポートを提供しています。

バージョンとプラットフォーム

  • ライブラリ:wolfSSL v5.9.1(GPLv3 と商用のデュアルライセンス)、Mbed TLS 3.6.6。2026 年 6 月に測定。
  • ビルド:wolfSSL は各ターゲットで速度最大化の設定。Intel は --enable-intelasm --enable-sp=yes,asm、Raspberry Pi は --enable-armasm --enable-sp=yes,asm、STM32 は Thumb2 と SP Cortex-M アセンブリ。Mbed TLS は各環境で最速の標準構成(MBEDTLS_HAVE_ASM)。すべてのターゲットで同一ソースからビルド。
  • プラットフォーム:Intel i9-11950H、x86_64、GCC 12.2。Raspberry Pi 5、Cortex-A76 2.4 GHz、Debian 12、GCC 12.2。STM32H563 (NUCLEO-H563ZI)、Cortex-M33 250 MHz、ベアメタル、arm-none-eabi-gcc 13.2、命令キャッシュ有効。PolarFire SoC Video Kit (MPFS250T)、SiFive U54-MC 600 MHz x 4、Yocto Linux 6.12、GCC 13.3。
  • 測定:デスクトップおよびサーバー環境では wolfcrypt/benchmarkprograms/test/benchmark。MCU では同一処理を内蔵 DWT サイクルカウンタで計測。ブロックサイズ 1024 バイト、1 アルゴリズムあたり約 1 秒。共通鍵暗号は MiB/s または KiB/s、公開鍵暗号は 1 秒あたりの処理回数。

もし弊社製品についてご質問があれば、お問い合わせ窓口info@wolfssl.jpまでご連絡をお願い致します。

原文:https://www.wolfssl.com/wolfssl-vs-mbedtls-an-apples-to-apples-benchmark-across-intel-arm-cortex-a-and-cortex-m-and-risc-v-targets/