NXP SE050開発環境で鍵の自動削除に対応

NXP EdgeLock SE050はIoTデバイスに強力なRoot of Trustを提供するセキュアエレメントであり、「プラグ&トラスト」と呼ばれるほどのシンプルさで知られています。wolfSSLは以前よりSE050をサポートしており、TLS、クラウドオンボーディング、データ保護のための堅牢なハードウェアベースのセキュリティを実現しています。
しかし、開発中にセキュアエレメントで暗号鍵を管理することは、しばしば煩雑な作業となります。この度、wolfSSL 5.8.0リリースの新機能の1つとして、SE050における自動鍵削除に対応しました。

自動鍵削除による鍵管理の簡素化

開発者は開発およびテストの過程で多くの暗号鍵を作成・破棄を繰り返します。SE050では、これらの鍵は永続ストレージスロットを占有します。そして鍵ストアが満杯になるとエラーを引き起こし、作業の遅れに繋がります。これを解消するために、開発者は注意深く手動でクリーンアップする必要があります。

ソリューション:WOLFSSL_SE050_AUTO_ERASE

wolfSSL 5.8.0にて、プリプロセッサマクロ WOLFSSL_SE050_AUTO_ERASE を導入しました。wolfSSLがこのオプションを有効化してコンパイルされると、wolfSSLを介してSE050で生成・ロードされた鍵は、アプリケーション内の対応するwolfCrypt鍵オブジェクトが解放されるとき(例:wc_ecc_free()を介して)セキュアエレメントから自動的に消去します。

利点

  • 開発・テストをより高速に
    手動でのSE050鍵クリーンアップの必要性を考慮せず、自由に実験できます。
  • テストの簡素化
    鍵ストアが満杯になる可能性が低減し、SE050で鍵を生成する自動テストがより堅牢になります。
  • 鍵ストアの整頓
    SE050の鍵ストアを、常にクリーンに保ちます。
  • アプリケーションロジックに集中
    SE050のマネジメントに必要な労力を抑え、アプリケーション開発にさらに多くの時間を費やせます。

この機能は、特に迅速なプロトタイピングとテスト段階において、強力なSE050をさらに扱いやすくします。

補完的なSE050改良

この鍵管理拡張と並んで、wolfSSL 5.8.0にはSE050実装の他の改良も含まれています。自動鍵削除は開発者ワークフローのハイライトですが、これらの追加の貢献は、wolfSSLのSE050サポートの全体的な安定性とパフォーマンスにとって不可欠であり、洗練された信頼性のある体験を保証します。

これらの拡張が重要な理由

wolfSSL 5.8.0のこれらの改善は、堅牢であるだけでなく、開発者に優しいセキュリティソリューションを提供するという私たちの取り組みを示しています。開発プロセスに含まれる手間を減らすことで、より効率的にセキュアなアプリケーションを構築することを可能にします。

始め方

1. wolfSSL 5.8.0をダウンロード

ダウンロードページから最新リリース(wolfssl-5.8.0.zip)を取得します。

2. 自動鍵削除を有効化

WOLFSSL_SE050_AUTO_ERASEを定義してwolfSSLをコンパイルします。
例えばautoconfを使用する場合、次のようにします。

./configure --with-se050 CFLAGS="-DWOLFSSL_SE050_AUTO_ERASE"

  これは開発およびテストビルドに最適です。

3. ドキュメントを参照

SE050インテグレーションの詳細については、wolfSSLソースに同梱(wolfcrypt/src/port/nxp/)しているREADME_SE050.md および wolfssl-examplesリポジトリで公開している実装例をご参照ください。

まとめ

wolfSSL 5.8.0のSE050拡張により、NXPのSE050とのハードウェアセキュリティ統合がよりスムーズで効率的になります。wolfSSLは、引き続き開発者が使いやすい最先端のセキュリティを提供し続けます。

ご質問がございましたら、ぜひ info@wolfssl.jp までお問い合わせください。

原文:https://www.wolfssl.com/wolfssl-5-8-0-easier-nxp-se050-development-with-automatic-key-deletion