wolfBoot v1.16をリリースしました。 このバージョンでは、マイクロプロセッサベースの組み込みシステムでのステージング(実行環境への展開)を容易にする重要なコンポーネントである、ELFフォーマットのパーサーを導入しました。 PowerPCアーキテクチャのサポートが改善され、RAMからの完全なステージングが可能になりました。 NXP P1021のサポート、Renesas RA6M4および RX72Nにもサポートを拡張しました。 最も関連性の高い変更の概要は次のとおりです。
ELFファイルフォーマット解析のサポート
wolfBootはデフォルトでバイナリ形式のイメージファイルを処理し、制約のある組み込みシステム上でのRAMへのイメージのコピーを行うことなくでその場で実行できるようにします。一方、大規模システム向けに、ELF32またはELF64形式で用意した実行可能ファイルに署名してターゲットに転送し、その後実機上でELFパーサーで解析しながら,シンボル情報の複雑な構造を異なる領域にマップしたり、実行時に再配置したりすることも可能にしました。
PowerPCアーキテクチャサポートの改善
PowerPCシステムのサポートが拡張され、第 1 段階のローダーを使用して揮発性メモリから完全にブートできるようになりました。 ベアメタルアプリケーションまたは OSイメージは、ポジションインディペンデント・バイナリファイルにコンパイルできます。このバイナリファイルは、wolfBootによって RAMにロードされ、検証を完了してRAMから実行されます。 DDRメモリの初期化も再設計を行い、DDR RAMを初期化した直後にブートローダーが実行時にスタックを再マッピングできるようにしました。
NXP P1021の拡張機能をサポート
NXP P1021プラットフォームのサポートを拡張し、eSPIバスを介してwolfTPM経由でTPM2.0デバイスにアクセスするために必要なドライバーをサポートするようにしました。 さらに、TPMデバイスをこのターゲットの「信頼の起点(root of trust)」として使用できるようにしました。QUICCエンジンとマルチプロセッサスピンテーブルのサポートも追加しました。eLBC NANDドライバーに関するいくつかの小さな問題も修正しました。
Renesas マイクロコンロトーラ群の拡張機能をサポート
RA6M4とRX72Nの両MCUへの移植とサンプルプロジェクトの更新を行い、新機能を説明するようドキュメントを更新しました。 特に、wolfCryptでSCEおよびTSIPドライバーを使用してハードウェアアクセラレーションを有効化できるようにしました。
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