wolfSSLのお客様、またエンドユーザー様に、弊社の2019年の実績を報告いたします。
wolfSSLの2019年は、おかげさまで前年に続き大きく成長した飛躍の一年となりました。弊社の製品が持つ技術的優位性と、テストおよび品質への継続的な投資を土台に事業を大幅に拡大させました。
市場に先駆けたTLS 1.3への準拠、自動車市場に向けたMISRA-C対応、米国政府機関への納入に向けたFIPS認証、航空電子機器向けのDO-178サポートなどを行ってきました。また、ファジングリソースに含まれる社内外の追加ソースが示すように、wolfSSLは市場で最もテストされた製品を提供し続けています。弊社製品をお使いの多くのユーザによるコード監査も多数受けてきています。そして、世界最高レベルのコード監査人とテスターと称される方々にも、wolfSSLの製品のコードをレビューしてもらいました。多くのテストと多くの目によるチェックにより、今日の最もテストされたTLSおよび暗号化コードの品質を達成しています。wolfSSLに興味を持っていただきありがとうございます。私たちは2020年に素晴らしいスタートを切ることができ、本年の残りの期間も皆様の期待に応えられるよう努力してまいります。
(注目: TLS、暗号化エンジンを選んでいただく際、暗号化エンジンのプロバイダがファジングを実施していることはセキュリティ上大変重要な要素です。)
wolfSSL技術進歩
wolfSSL組込みTLSライブラリは、2019年に合計4つのバージョンをリリースしました。各バージョンで不具合修正、拡張、および新機能の追加を実施しています。主な変更点は次のとおりです。
1.ハードウェアとOSの新たなサポート
- ルネサスRX65N
- SiFive HiFive E31 RISC-Vコアファミリ
- SiFive HiFive Unleashedボード
- Telit IoT AppZone SDK
- Deos Safety Critical RTOS
- Zephyrプロジェクト
- Espressif ESP32-WROOM
- Espressif ESP-IDF
- サイプレスWICED Studio
- ARM MDK CMSIS RTOS v2
- Sysgo PikeOSとELinOS
2.ソフトウェアの新たなサポート
- Apache Webサーバー(–enable-apache-httpd、WOLFSSL_APACHE_HTTPD)
- OpenVSwitch
- Google WebRTC
- 198の新しいOpenSSL互換性API
- Qt(–enable-qt、–enable-qt-test、WOLFSSL_QT)
- OpenVPN
3.既存のポートの更新
- Arduino (デフォルト設定の更新/リファクタリング、スケッチサンプルコードの改善)
- ザイリンクス (Xilinx FreeRTOS ビルドに対する更新)
- Nginx (1.15.0 パッチ更新、1.16.1 と 1.17.5 のサポート)
4. オペレーティングシステムの更新
- Micrium uC/OS-III (ポートの更新、静的マクロとインラインマクロの調整)
- Windows (カスタム ECC曲線、ディレクトリ機能の修正)
- NetBSD (デフォルトビルドとmutexの使用)
- SafeRTOS (ビルド問題の修正)
- VxWorks (ポート更新)
- Yocto Linux (使いやすさの向上、アップデート、ビルド手順)
5.コンパイラとIDEの更新
- IAR-EWARM(Cortex-Mの変更、コンパイラ警告の修正)
- Renesas CS+(ユーザー設定サポートの改善、サンプルの更新)
- XCode(プロジェクトファイルの更新、i386 上の iPhone シミュレータのビルドの修正)
- Visual Studio(ビルド警告の修正、snprintfのラッパー)
- Cygwin(可視性タグの修正)
6.TLS 1.3のアップデート
- 相互運用性の向上
- 相互運用性の修正とバージョンネゴシエーションの改善
- 移植性の向上
- 移植性改善(時間要件の簡素化、XTIME_MS)
- テストの強化
- ファジングの追加
- 一部の組み込みターゲットの自動テスト
- 既知のユースケースと構成を対象とした顧客テストの改善
- その他の暗号スイート
- NULL暗号スイートの追加(TLS_SHA256_SHA256、TLS_SHA384_SHA384)
7.新しいハードウェア暗号サポート
- nRF52840のARM CryptoCell-310
- RX65NのRenesas TSIP
- HMAC、AES-CBCおよびRNGのPKCS#11サポート
- Intel QuickAssist v1.7ドライバのサポート
- Intel QuickAssist RSA鍵生成とSHA-3サポート
- STM32WB PKA ECC署名検証
8.既存のハードウェア暗号サポートの改善
- STM32(AES-GCM性能改善)
- STSAFE(wolfSSL暗号化コールバックサポート、エラーコード処理の改善)
- TI(既存のハードウェア暗号のアップデート)
- NXP mmCAU性能改善(35-78%の向上)
- 暗号コールバック(3DESのサポート、機能改善)
- Microchip ATECC508/608A、AES-NI、AVX2、ARMv8、devcrypto/afalg、ST CubeMXへの修正
9.新しいアルゴリズムと更新されたアルゴリズム
- Ed25519ctxとEd25519phの追加(署名/検証-RFC 8032)
- Blake2sの追加(32ビットBlake2サポート)
- CMS / PKCS#7の改善
10.アルゴリズムの性能最適化
- ARMアーキテクチャ
- SIMD NEON拡張を使用したChaCha20
- SIMD NEON拡張を使用したPoly1305
- Curve25519 / Ed25519
- SIMD NEON拡張を使用したSHA-384 / 512
11.新規および更新されたビルドオプション
- “-enable-ecccustcurves=all” – すべての曲線タイプを有効化
- “-enable-16bit” – 16 ビットコンパイラのサポートを有効化
- “-enable-rsavfy” – RSA検証のみのビルド
- “-enable-rsapub” – RSA 公開鍵のみのビルド
- “-enable-armasm” – autotools で使いやすくするために更新
- “-enable-fallback-scsv” – サーバー側のフォールバックSCSV
- “-enable-titancache” – 新しいセッションキャッシュサイズ、200万以上のセッションを保持可能
12.TLS拡張サポートの追加と更新
- TLS Trusted CA拡張機能を追加
- TLS 1.2以下にEncrypt-then-MACを追加
- 署名アルゴリズム拡張を無効にする機能
- SNI拡張の解析効率の向上
- ALPNの解析時にエラーチェックを追加
13.Single Precisionの更新
- Cortex-Mサポート
- 素数判定のサポート
- 基数が2の場合のmod expの特殊な実装
- 4096ビットRSAおよびDH操作のサポート
14.FIPS 140-2検証の追加
- wolfCrypt v4.0.0 FIPS認証を取得(証明書#3389)
- 新しくFIPS Ready版をリリース
- configure.acにwolfRandビルドオプションを追加
- FIPS 140-2 運用環境の追加
- プロセッサアルゴリズムアクセラレータ(以後PAA)あり/なしのARM Cortex-A72のHP PN 3PZ95-60002上で動作するHP Imaging&Printing Linux 4.9
- PPAありでのARMv8 / NEONアセンブリ最適化を含む
- Intel®Core™i5-5300U CPU @ 2.30GHz x 4を搭載したIntel Ultrabook 2 in 1で動作するLinux 4.4(Ubuntu 16.04 LTS)(PAAあり/なし)
- PAAありのIntel AESNIとRDSEEDサポートを含む
- STMicroelectronics STM32L4Rx(PAAなし)を搭載したSTMicroelectronics STM32L4R9I-DISCO(ディスカバリーキット)で動作するOpenRTOS v10.1.1
- PAAあり/なしのIntel®Core™i7-7820 @ 2.9GHz x 4を備えたRadar FCL Package Utilityで実行されるWindows 10 Enterprise
- PAA ありのIntel AESNIおよびRDSEEDサポートを含む
- PAAあり/なしのIntel®Core™i5-5300U CPU @ 2.30GHz x 4を搭載したIntel Ultrabook 2 in 1で実行されるWindows 10
- PAA ありのIntel AESNIおよびRDSEEDサポートを含む
- プロセッサアルゴリズムアクセラレータ(以後PAA)あり/なしのARM Cortex-A72のHP PN 3PZ95-60002上で動作するHP Imaging&Printing Linux 4.9
15.テスト
- Coverity、scan-build、およびcppcheckレポートの修正
- 増加したコードカバレッジ向けのテストケースの強化
- プルリクエストとナイトリーテストの追加
- APIのサブセットに対するABIコンプライアンステスト
16.サンプルコード
- 新しいColdfire MCF5441X NetBurnerのサンプルコード
- Microsoft Azure Sphereデバイス用の新しいVisual Studioソリューション
- 新しいNXP Kinetis Design Studio(KDS)サンプルプロジェクト
17.その他の製品の機能強化
- wolfMQTT(2リリース)
- マルチスレッドサポート (-enable-mt)
- ポートのアップデート
- Visual Studio
- NXP MQX / RTCS
- Microchip Harmony
- サンプルコード
- 新しいマルチスレッドのサンプルコード
- Azure認証の更新
- サンプルコードにデフォルトのブローカー
- 新しいシンプルなクライアントのサンプル
- 新しいノンブロッキングのサンプル
- wolfSSH(3リリース)
- クライアント側の公開鍵認証のサポート
- 送信された公開鍵をチェックするコールバック関数
- Windows CE、Micrium 3、MQX 4.2のSFTPクライアントとサーバーのサポート
- NucleusとWindowsのポートの更新
- ウィンドウサイズの最適化
- 自動化テストとファジングの改善
- ノンブロッキングサポートの更新
- その他のサンプルコード:Renesas CS +、SFTP
- AES-CTR接続のサポートを追加
- 相互運用性と信頼性の向上
- TCPポート転送
- グローバルなリクエストメッセージのサポート
- クライアント側の疑似端末サポート
- wolfTPM(3リリース)
- Microchip ATTPM20のサポート
- Bareboxのサポート
- 複数の並行プロセスのサポート
- チップ検出、互換性、起動性能の改善
- 新しいAPIユニットテストフレームワークによるより良いテスト
- 認証付きのNVのサポート
- HMAC / AES、ECDHE、PCRの新しいラッパーとサンプルコード
- TLSクライアント/サーバーのサンプルコードを追加
- スタック使用量の削減
- 拡張されたベンチマークサポート
- FIPSモードとSymmetricオプションの暗号化コールバックフラグ
- ST33 TPM2_SetModeコマンドのサポート(省電力)
- wolfBoot(3リリース)
- Cortex-M0用のコンパイルオプション
- RV32 RISC-Vアーキテクチャのサポート
- STM32F76x / 77xハードウェア支援デュアルバンクサポート
- 新しいHAL対応
- Atmel SAMR21
- TI CC26X2
- NXP / Freescale Kinetis SDK
- RV32 FE310(SiFive HiFive-1)
- STM32L0
- STM32G0
- STM32F7
- STM32H7
- STM32WB55
- ECC-256 DSAのサポート
- 更新/スワップ用の外部フラッシュのサポート
- アンチロールバック保護
- 鍵生成と署名のための新しいPythonツール
- フラッシュ書き込み機能をRAMに移動する機能
- ブートローダーが自身を更新する機能
- TPM2.0対応
- wolfTPMとの統合
- デュアルTPM / FLASH通信をサポートする拡張STM32 SPIドライバー
- インフィニオン9670とSTM32でテスト済み
- RSA 2048ビットデジタル署名検証
- cURL
- 商用サポート開始
- wolfSSL-py(2リリース)
- Python3の修正
- ネイティブ機能検出
- wolfCrypt-py(1リリース)
- Ed25519暗号を追加
- ECC鍵処理のメソッドを追加
- Ed25519の未加工の署名/検証の新しいメソッド
- RSAの新しいメソッド:make_key()encode_key()
- wolfSSLビルドに基づくネイティブ機能の検出
wolfSSLトップ10ブログポスト/技術発表(グローバル)
- OpenSSLのエンジンとしてのwolfCrypt:
- TLS 1.2とTLS 1.3の違い:
- wolfSSLとcURLの統合:
- wolfSSL FIPS-Ready版:
- wolfCrypt FIPS版の新しい認証取得 – TLS 1.3 FIPS対応
- TLS 1.3性能分析(シリーズ)
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-client-server-authentication/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-throughput/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-client-server-authentication/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-server-pre-generation/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-pre-shared-key-psk/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-part-2-full-handshake-2/
- https://www.wolfssl.com/tls-1-3-performance-analysis-resumption/
- wolfSSLのDO-178 DAL Aサポート:
- wolfBootを使った組み込みシステムのリモートファームウェア更新
- OpenSSL互換性レイヤの拡張
- Misra-C準拠のセキュアブートローダーが必要ですか?
2019開催のウェビナー(グローバル)
- TLS 1.3を使用する利点
- wolfSSL:TLS 1.3、OpenSSLの比較
- セキュアブートの概要
- OpenSSLからwolfSSLへの移行
- アビオニクスのセキュリティ
wolfSSL組織の成長
- wolfSSLは、TLS/暗号の単一の実装のみに特化したチームとして世界最大級のチームです。グローバルチームで活躍するエンジニアを募集しています。
- wolfSSL求人情報 https://wolfssl.jp/wordpress/wearehiring/
- wolfSSLは顧客基盤を大幅に拡大し、現在で1,000社以上のお客様の製品で採用され、30以上のベンダーとパートナー関係を持ち、世界中で20億を超える接続をセキュアにしています。
- wolfSSLは、2019年にヨーロッパでの体勢を強化し新メンバーが2人加わりました。
- wolfSSLは62のイベント、展示会に参加しました(下記参照)。世界中のネットワークセキュリティをお探しの方々にwolfSSLをご紹介し、信頼できる暗号化とTLSの実装をお勧めしています。
wolfSSLイベントと展示会
2019年は合計で62のイベント、展示会に参加しました。2018年の50回から増加しています(2017年は30回)。参加したイベント、展示会の開催地は10か国、18のアメリカの州、44の都市に及びました。昨年参加したイベントは次のとおりです。
- CES(ラスベガス、ネバダ州)
- スマートファクトリーエキスポ(東京)
- Japan IT Week West(大阪)
- Embedded Tech India Expo(インド、ニューデリー)
- FOSDEM(ブリュッセル、ベルギー)
- DistribuTECH(ニューオーリンズ、LA)
- Embedded Technology Nagoya(名古屋)
- Embedded World 2019(ドイツ、ニュルンベルク)
- RSA(カリフォルニア州サンフランシスコ)
- Medtec Japan 2019(東京)
- MtoM Embedded Systems(フランス、パリ)
- Black Hat Asia 2019(マリーナベイサンズ、シンガポール)
- cURL UP(プラハ、チェコ共和国)
- NXP Tech Days Chicago(シカゴIL)
- SIdO(フランス、リヨン)
- Japan IT Week Spring(東京)
- NXP Tech Days MInneapolis(ミネアポリス、ミネソタ州)
- IoT Tech Expo Global(ロンドン、イギリス)
- LinuxFest(ワシントン州ベリンガム)
- Satellite 2019(ワシントンDC)
- NXP Tech Days Seattle(ベルビュー、ワシントン州)
- ICMC(バンクーバー、BC)
- Internet of Things World(カリフォルニア州サンタクララ)
- ESC Boston(ボストン、マサチューセッツ)
- Wireless IoT(東京)
- RTCA(クリスタルシティ、バージニア州)
- TU Automotive(チューリッヒ、スイス)
- Risc-Vサミット(ドイツ、チューリッヒ)
- NXPコネクト(カリフォルニア州サンタクララ)
- Embedded Technology West(大阪)
- IoT TechExpo Europe(アムステルダム、オランダ)
- Sensors Expo West(カリフォルニア州サンノゼ)
- IoT Security Forum(東京)
- Microchip Master 2019(フェニックス、アリゾナ州)
- Black Hat 2019(ラスベガス、ネバダ)
- NXP Tech Days(カリフォルニア州アーバイン)
- Billington International Cyber Security Summit(ワシントンDC)
- RIOTサミット(フィンランド、ヘルシンキ)
- NXP Tech Days Boston(ボストン、マサチューセッツ)
- IoT World Asia 2019(シンガポール)
- ST Dev Con(カリフォルニア州サンタクララ)
- FACEコンソーシアム(オハイオ州デイトン)
- Federal Identityフォーラム(フロリダ州タンパ)
- ST Tech Tour(バンクーバー、BC)
- ArmTech Con(サンノゼ、カリフォルニア州)
- NXP Tech Days Detroit(デトロイト、MI)
- Japan IT Week Autumn(千葉幕張メッセ)
- ST Techツアー(ミネソタ州ミネアポリス)
- ザイリンクスXSWG(ロングモント、CO)
- Embedded Conference Scandinavia(ストークホルム、スウェーデン)
- ETSI / IQC量子安全暗号ワークショップ(ワシントン州シアトル)
- ST Techツアー(マサチューセッツ州ボストン)
- NXP Tech Days Toronto(トロント、カナダ)
- ザイリンクスXWSG(バージニア州ハーンドン)
- IoT Tech Expo North America(カリフォルニア州スタンタクララ)
- Embedded Technology / IoT Technology(パシフィコ横浜)
- オープンソースカンファレンス(東京)
- Embedded Software Engineering Kongress(ドイツ、ジンデルフィンゲン)
- ザイリンクスXWSG(ドイツ、ミュンヘン)
- ARM Tech Symposium(東京)
- RSC-Vサミット(カリフォルニア州サンノゼ)
- トロンショー(東京)
まとめると2019年は晴らしい年でした。2020年には、これまで以上に安全で機能的なソフトウェアをお客様とコミュニティに提供できるよう努めてまいります。
wolfSSLではみなさまからのフィードバックをお待ちしております。 info@wolfssl.jp までお寄せください。