低電力コンピューティングにはリソース消費を最小限に抑えたソフトウエアが必須

今年のArm TechConのテーマは低電力コンピューティングだった。コンピューティング・システムの電力を削減すると、以前は考えもしなかった分野への応用が可能になる。電力削減と言うと、まず第一に低電力で作動するプロセッサやメモリーで、ソフトウエアのことを考慮しない傾向がある。ソフトウエアとはユーティリティやアプリケーションを含む。そのことをふまえて、yaSSLの戦略を見てみよう。どのようにして、yaSSLが生まれたのか、またどういったメリットがあり、どんな市場に適しているのか。

共同創始者のLarry StephonicはMySQLで営業担当の副社長だった。ご存知のようにMySQLはSunに買収され、そのSunはOracleに買収されたので、現在はOracleの一部となっている。以下はLarryに以下の3点について聞いた

– yaSSLの成り立ち

– メリット

– 市場

について簡単にまとめる。

成り立ち

2005年にMySQLはコード・オーディットを行い、コードの全ての所有権やライセンスが合法的である信するために重要なプロセスだった。

このオーディットでOpenSSL に2つの問題が発見された。1つは大きく成りすぎて、管理や保守が困難になったことだ。2つ目はそのライセンス形態が複雑で所有権がはっきりしないことだった。2つ目はMySQLにとっては大きな問題だ。商業ライセンスを提供する時に、ライセンスや所有権がはっきりしないのは、致命的だからだ。 だから、オープン・ソースであり、デュアルライセンス(オープンと商業)をサポートする新たなSSLが必要だったのだ。これがyaSSLの出生の秘密だ。

特徴と利点

SSLは標準化されており、仕様は誰でも入手できる。それでは、どうやって差別化するのか。Larryは以下を上げた。

1. オープンソースであることで、コストを抑えることができ、そのコスト削減をユーザーに還元できる。商業ライセンス使用のユーザに1製品5,000ドルから提供できる。

2. 小さなリソースで作動する。組み込みシステムに最適で、RTOSなしでも問題はない。コードの大きさは 20?100 kB でランタイムのメモリーは5?50 kBしか必要ない。

3. 非常に移植しやすい。

4. 商業ライセンスが明確に定義されている。

5. ハードウエアによる暗号化をサポートしている。 これには、IntelのAES-NI とCavium crypto プロセッサーを含む。

この特徴や利点は市場を解析した結果導きだされたもので、決して偶然ではない。市場は今後、音声、ビデオなどストリームメディア系を含めた組み込みシステムが伸びる。それらは当然ネットワークで繋がり暗号化などのセキュリティの要求が増大するだろうと。

市場

では、yaSSLの一連の製品はどの市場に向いているのだろうか。

1. インターネット上のストリーミング・メディア(ビデオと会話を含む音声)。このためDTLSやストリーム暗号やTLS 1.2をサポートしている。例えば、SkypeはCyaSSLのパッケージを使用している。

2. 電力網のセンサー関連。電力メータや家電製品を繋ぐホーム・エネルギーマネージメントシステムだ。Whirlpoolや Boschなどの大手が使用。

3. ゲーム。CyaSSLは全ての主なゲーム端末に移植済み。例えば、 SONY’s Wipeout 1214 の PS Vita 端末だ。

]]>