CNSA 2.0 アップデート Part 3:LMSとXMSS

2024年4月18日、アメリカ国家安全保障局NSAはCNSA 2.0(Commercial National Security Algorithm Suite 2.0)アドバイザリのアップデートを発表しました。

PQCフォーラムにFAQ形式でドキュメントが公開されています。
私たちが興味深いと感じた質問とその回答を、コメントを添えて数回に分けて投稿します。今回は第3回目です。

内容に入る前に、関連する用語について簡単にご説明いたします。

  • NSS:米国国家安全保障システム
  • NIST SP 800-208:米国国立標準技術研究所 特別刊行物 800-208 “Recommendation for Stateful Hash-Based Signature Schemes
  • LMS:Leighton-Micali Signature。ステートフルなハッシュベースの署名方式。
  • HSS:Hierachical Signature Scheme。LMSの上位にあるハイパーツリーアルゴリズム。
  • XMSS:eXtended Merkle Signature Scheme。ステートフルなハッシュベースの署名方式。
  • XMSS^MT:eXtended Merkle Signature Scheme – Multi-Tree。XMSSの上位にあるハイパーツリーアルゴリズム。

Q. NIST SP 800-208のHSSまたはXMSS^MTを使用できますか?

A. NIST SP 800-208に基づき、NSAはNSSでの使用にLMSとXMSSのみを承認しています。HSSとXMSS^MTは許可されていません。

この回答は、NSSでの使用が承認されているのは実際のステートフルハッシュベースの署名スキームのみであることを意味します。NIST SP 800-208で指定されているハイパーツリー(ツリーオブツリーとも)コンポーネントは承認されていません

私たちの実装では、実際のステートフルハッシュベースの署名スキームを備えたハイパーツリーコンポーネントをサポートします。
具体的には、HSS/LMS及びXMSS/XMSS^MTです。

LMS公開鍵の前に4バイト分の0を加えることで、HSS/LMS公開鍵として使用することができます。これは、署名においても同様に機能します。

ハイパーツリーコンポーネントに加えて、APIで次の仕様をサポートすることでXMSSも使用可能となります。

  • XMSS-SHA2_10_256
  • XMSS-SHA2_16_256
  • XMSS-SHA2_20_256

MTは付加しないことにご注意ください。

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原文:https://www.wolfssl.com/cnsa-2-0-update-part-3-lms-and-xmss